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五山の送り火と旧暦

八月の十日前後になると
朝早くから
木魚ととても低音の温かい声の
念仏が聞こえる。
『あ!おっさん、もう来てはる』
布団の中で気付く。
そう、この『おっさん』とは
普通のおじさんとは違い
お寺の住職のことを
『おっさん』と
京都の人はよく呼ぶ。
もちろん、イントネーションも
前者のおじさんの『おっさん』
とは違い
声が出るなら
ここで発音したい。
喜界町にお住まいの方は
ぜひ、いらしてください。
私が違いを発音します!
五山の送り火と旧暦_f0197325_17534124.jpg

そう、京都の盆は
その頃、お迎えが始まり
今夜の8時に大文字の送り火で
ご先祖さんが帰られるのを見守る。
『あ〜お盆が終わったわ〜』

蓮の葉に
キュウリやお茄子に足をつけて並べ
小さなお膳に
ご飯や吸い物
煮物や香の物を盛りつけ、
母が亡くなってからは
私がそういったことを
母のしていたことを思い出しながら
『おっさん』をお迎えしたものだ。
朝早くから近くの
和菓子屋さんで
美味しいお菓子を二個買い求め、
漆のお皿に半紙を置き
セットしておく。
お茶は緑茶の美味しいのを
冷たくして
お客さん用の切り子の涼しい
グラスで冷やしておく。
『おっさん、おはようございます』
暑い暑いクーラーのない二階に
慣れた様子で上がって行かれる
『おっさん』の後ろを
おしとやかに駆け上がる。
早速、お仏壇の前に座られ
すべてのものを
使いやすいように並べられたら
『始めます』
そう言って、あの低音の
温かい声で始まるのだ。
『なんまんだぶつ〜なんまんだぶ〜〜〜』
でも、ゆっくり聞いてなんていられない
終わられる直前になったら、
ギシギシ言う階段をおしとやかに
音のならないようにジャンプして
降りて行き、
また、何もなかったかのように
静かにセットしておいた
お茶とお菓子をお盆に乗せて
今、思えば
『おっさん』は気付いていたのだろうが
必死で冷静を装い、
その場にずっと居た感を
漂わせていた。
『ありがとうございます』
そっと差し出すと
その半紙を膝の上に起き、
お菓子を上手に包み
絽の涼しいお袈裟の袂に
そっと、拝みながら入れられ
冷たいお茶を
そっと口に含み
すこしお話をする。。。
そのお話は
まるで、日常の『暑いですね』
なんて会話なのに
説教を聴いているかのような
有り難い言葉に聞こえた。
そして、
忙しい『おっさん』は
次の檀家さんの待つ家に向かわれる。
その日から
お仏壇にご先祖さんが帰ってくる!!!
帰ってきている!!!
そう思うと、ついつい
辺りを見回し大声で言う。
『おかあちゃん!来てても姿は見せんといてや〜〜〜』
そして、この大文字の朝まで
小さなお膳を毎日続ける。。。
そして、それは
お下がりを食べずに
ビニール袋にそれを入れてためて
それだけのゴミの日に出す。

京都のお盆が終わる。
大文字の文字が点しだされる。
その美しい文字の明かりは
ご先祖様が帰る道しるべ。

実は喜界島では
皆さんがよく見てるカレンダーの
新暦とは違い、
旧暦で行事をされている。
そう、こちらの
お盆は新暦の9/1〜9/3なのである。
バアバに島のお盆の話を伺っていると
夕方に提灯を持ってお墓に向かい
ご先祖様を家まで先導し
3日の夕方にまた、
お墓まで先導されるそうなんです。
昔は、お墓の前で
料理を広げ、お酒を飲んだりしたそうです。
そして、送った後は
みんなで盆踊りをするそうなんです。
私も島の伝統的なお盆を
体験できるんだと今から
楽しみです。

暮らす所で
様々なお盆の迎え方があることでしょう。
でも、
ご先祖様を思う気持ちは
みんな同じ。
同じなんですね。。。

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by twelveseventeen | 2009-08-16 23:01